- NAS用のHDDがあるみたいだけど、何を使えばいいの?
- IronWolfとWD Red Plusってどんな違いがあるの?
- SynologyのNASにおすすめなHDDを分かりやすく教えて!
HDDといってもNASで使う場合は何でもいいわけではありません。
というのも、一般的に使用されているいわゆる「デスクトップ用」のHDDと「NAS用」HDDでは作られる前提条件が異なります。
一般的なHDD | 電源をオン・オフして稼働することを前提 |
NAS用HDD | 24時間稼働することを前提 |
そのため、24時間稼働に耐えられるよう振動耐性が高い設計になっているのが特徴です。
この記事では、Synologyの人気モデル「DS220j」「DS220+」と互換性のある、2つのメーカーのHDDをご紹介します!
最新モデルのDS223j・DS223との互換性についても解説しています。
IronWolfもWD Red Plusも互換性リストに載っている型番のHDDなら、どちらでもOK!
- 互換性リストは必ず確認!
- DS220jで1〜3TBのIronWolfを使っている場合、2023年の新モデルDS223jやDS223と互換性が無い場合があるから要注意!
- スペック重視ならIronWolf、コスト重視ならWD Red Plus!
HDDを別で買うのはデメリット?
Synologyの家庭用NASは自分でHDDを購入して取り付けるタイプ「NASキット」で販売されています。
別途費用がかかるのでデメリットのように思えますが、パッと思い浮かぶだけでもこれだけのメリットがあります。
- 将来的にNASを買い替える時に移行が簡単&本体を売れる
- 自由にHDDの容量を選べる
- HDDの本数を自分で調整してRAIDを作れる
- HDDの交換で容量を拡張できる
NASキットは長期的に見てとてもコスパがよいのです。
それでは一緒にHDD選びをしていきましょう。
Synology製品互換リストを確認
SynologyのNASを導入する場合、購入しようと思っているモデルと互換性のあるHDDかどうか必ず確認しましょう!
▲Synologyホームページの製品互換リストの[Synology製品で検索]から型番を選択、[HDD/SSD]を選択して、[デバイスの発見]を押します。
▲モデルは「DS220j」で、クラスは「NAS」、容量2TBのHDDを購入する前提で絞りました。
▲同様に「DS220+」だと検索結果はこちらになります。
互換性リストにないHDDを使ってNAS本体が壊れた場合、保証対象外となる可能性があるのでご注意ください。
どちらもこの2つのメーカーのHDDに絞られました。
- Seagate(シーゲイト)の「IronWolf」
- Western Digital(ウエスタンデジタル)の「WD Red Plus」
▼2020年製のDS220j・DS220+と互換性がある2TBの型番はこちら
▼2023年製のDS223j・DS223と互換性がある2TBの型番はこちら
▼2020年製&2023年製(DS223jを除く)と互換性のある2TBの型番はこちら
「IronWolf」と「WD Red Plus」どっちがいい?
Synology的には製品互換リストにある型番のHDDなら何でもいいよというスタンスなので、ここから先は「お好みで!」ということになります。
ではどちらを選べばいいのか、ポイントを絞って比較表にしてみました。
一般的な家庭の初めてのNASには2〜4TBくらいで充分だと思うので、ここでは2TBのHDDで比較しています。
項目 | Seagate IronWolf (旧型番) | Seagate IronWolf (新型番) | Western Digital WD Red Plus |
---|---|---|---|
型番 | ST2000VN004 | ST2000VN003 | WD20EFZX |
価格(※) | ¥9,584〜 | ¥12,170〜 | ¥10,318〜 |
回転数 | 5900rpm | 5400rpm | 5400rpm |
キャッシュ | 64MB | 256MB | 128MB |
内部転送速度 | 180MB/s | 180MB/s | 175MB/s |
静音性能 | アイドル時:19dBA 動作時平均:21dBA | アイドル時:20dBA 動作時平均:21dBA | アイドル時:23dBA 動作時平均:27dBA |
消費電力 | アイドル時 3.56W 動作時平均 4.3W | アイドル時 2.8W 動作時平均 3.1W | アイドル時 3.1W 動作時平均 4.8W |
保証期間 | 3年 | 3年 | 3年 |
互換性のある2ベイモデル | DS220j DS220+ | DS220j DS220+ DS223j DS223 | DS220j DS220+ DS223 |
正規代理店で購入すれば保証期間はどちらも3年です。
具体的に特徴を比較しながら見ていきましょう。
性能に大差無し?
まず、回転数とキャッシュについて解説します。
数値が高いほどアクセス速度の高速化が期待できます。
回転数
1分間のディスクの回転数をrpmという単位で表します。回転数が多いほど早くデータを見つけてくれます。
キャッシュ
HDDの中にある小容量のメモリで、読み込んだデータを一旦保存しておく場所です。
2回目以降にデータを読み込み時にディスクからではなく、キャッシュから読み込むことで転送速度が上がるため、キャッシュの容量が多い方が速度面でメリットがあります。
回転数は2023年製対応のIronWolfとWD Red Plusでは同じ数値になっていて、キャッシュがIronWolf256MBに対し、WD Red Plusは128MBになります。
アクセス速度はNAS本体のCPUやメモリ、ネットワーク環境にも左右されるので、一概に言い切れませんが、内部転送速度が180MB/s前後とほぼ同じなので、キャッシュの差によって大きな性能の差は出ていなそうです。
静音性能はSeagateの「IronWolf」が有利
IronWolfは、回転数がWD RED Plusを上回るにもかかわらず、静音性能に強みがあります。
実際にIronWolfは「音が静か!」という口コミが多いです。
我が家でもIronWolfを使っていますが、アクセス時に耳を傾けると「動いている」感じはありますが、夜にバックアップを取っている時も全く気になりません。
2TBの場合、DS223jはIronWolf一択
IronWolfは2020年製モデルで互換性があった型番がお求めやすい価格だったのですが、2023年製以降で対象外となり、代わりに価格がややお高めの型番「ST2000VN003」が対象になっています。
先述した通り、性能だけ見ると数値上はWD RED PlusよりIronWolfの方が優秀ですが、恐らく使用感に大差はないかと思うので、価格が安いWD RED Plusの方がおすすめです。
4TBの戦いが熱い!
2TBに関してはIronWolfの「ST2000VN003」であれば、ほぼ全ての2ベイモデルで使用可能で、価格を重視する場合はWD RED Plusが良さそうな結論になりました。
更に容量を上げて4TBに着目してみます。
ここ最近でIronWolfもWD RED Plusも4TBがリニューアルしました。
▼IronWolf 4TBの新旧型番の比較
項目 | Seagate IronWolf (旧型番) | Seagate IronWolf (新型番) |
---|---|---|
型番 | ST4000VN008 | ST4000VN006 |
価格(※) | ¥15,353〜 | ¥16,480〜 |
回転数 | 5900rpm | 5400rpm |
キャッシュ | 64MB | 256MB |
内部転送速度 | 180MB/s | 202MB/s |
互換性のある2ベイモデル | DS220j DS220+ | DS220j DS220+ DS223j DS223 |
項目 | Western Digital WD Red Plus (旧型番) | Western Digital WD Red Plus (新型番) |
---|---|---|
型番 | WD40EFZX | WD40EFPX |
価格(※) | ¥19,980〜 | ¥15,840〜 |
回転数 | 5400rpm | 5400rpm |
キャッシュ | 128MB | 256MB |
内部転送速度 | 175MB/s | 180MB/s |
互換性のある2ベイモデル | DS220j DS220+ DS223 | DS220j DS220+ DS223j DS223 |
いずれも旧型番と比べてキャッシュが大幅にUPしています。
転送速度についてはIronWolfの方が上回っていて、スペック上はここでもIronWolfに軍配が上がっています。
価格.comの情報だとWD RED Plusの方がお安く購入できるショップが多そうです。
私はDS223導入時にIronWolf「ST4000VN006」に買い替えました。
スペック重視ならIronWolf、コスト重視ならWD RED Plus
繰り返しになりますが、互換性リストにあればどちらのメーカーを選んでもOKです。
その上の判断材料として、スペック重視であればIronWolf、コスト重視であればWD RED Plusでお好みで探してみるといいかもしれません。
原則は同じメーカーで同じ容量・回転数のHDDを使う
使うHDDが決まったら、原則は同じメーカーで同じ容量・回転数のHDDを購入するようにしましょう。
容量が違うHDDでRAIDを組むと、容量が少ない方のHDDに準じて使用できる容量が決まります。
上記のように1TBと2TBのHDDでRAID1を組んだ場合、2TBの方の半分の容量が無駄になってしまいます。
同じように回転数も少ない方に準じて決まります。
IronWolfとWD Red Plusの回転数の差は2TBの時に500rpmで、そこまで大差がないから組み合わせて使えなくはないのですが、NASとHDDのパフォーマンスを最大限活かすには同じメーカー&同じ容量・回転数で統一した方が無難です。
注意点
冒頭でSynologyのNASは、新しいモデルに乗り換えた時にHDDごと移行できるメリットがあると述べました。
ただ、今回私がたまたま該当してしまったのですが、
もともと使っていた型番が、2〜3年後の新しいモデルでは互換性の対象外になってしまう可能性がある
ことは頭の片隅に入れておいた方がいいかと思います。
新しいモデルに移行する際には必ず互換性リストを確認するようにしましょう!
まとめ
SynologyのNASの人気モデル「DS220j」と「DS220+」、更に2023年の新モデルと互換性のあるHDDを比較してみました。
IronWolfもWD Red Plusも互換性リストに載っている型番のHDDなら、どちらを選んでも安心してご利用いただけます。
また、SynologyのNASには「SHR」というHDDを一部増設・交換した時に容量を最大限に活かせる独自のRAID構成があります。
なるべく同じメーカー&同じ容量・回転数のHDDを、「SHR」のRAID構成で使うことで効率的に活用することができます。
≫ Synology独自のRAID「SHR」って何?メリットを分かりやすく解説
今回は「2ベイモデルのNASで2TBのHDD2つ」という組み合わせを想定して解説させていただきましたが、SynologyのNASキットは4ベイモデルの場合でも最初はHDD2つでRAID1、HDD3つでRAID5といった感じでご自身の使い勝手に合わせてHDDの数を調整できるのも魅力です。
SynologyのNASは長期的に見てコスパが良くてとても柔軟性があります。
ぜひ最大限に活かして使ってみてくださいね。
▼2TB
▼4TB
▼我が家はNAS→DS220j(2023年にDS223にモデルチェンジ)、HDD→IronWolfを使っています
≫ 初めての家庭用NASにSynology DS220jをおすすめする3つの理由
≫【2023年】Synology家庭用NAS 最新モデルDS223を正直レビュー!